骨粗鬆症


骨粗鬆症とは、骨からカルシウムが溶け出し微細構造が弱くなり骨折をしやすくなっている状態です。

食生活や運動の低下から生じることもありますが、閉経にともなうホルモンバランスの変化や生活習慣病に伴う変化、喫煙、ステロイドなどの投薬など、原因は多岐にわたり、また合併することで骨折のリクスが何倍にも膨れ上がります。


骨粗鬆症の原因は?

年齢や性別、遺伝など、危険因子が挙げられております。

また原因により骨折の危険度が異なり、それぞれ合併することで数倍以上に跳ね上がることも分かっています。

年齢

性別

体重

両親の大腿骨頸部骨折の既往

喫煙習慣

ステロイド薬の内服

関節リウマチ

骨粗鬆症を起こす疾患(副甲状腺疾患、呼吸器疾患など)

アルコールの接種

低骨密度


検査・診断

医療的診察

胸腰椎レントゲン検査

骨密度検査(当院では、DXA法を採用。腰椎・大腿骨頸部を撮影します)

TBS検査(骨質を評価する方法の一つで、三浦半島では当院のみとなります)

 

血液検査(TRACP-5b・Intact P1NP等) 

転ぶリスクを調べるため、人により体組成計重心動揺計も行います。


評価

骨密度やTBS、レントゲン検査、さらに既存骨折、転倒のリスクなどを加味し、骨粗鬆症に伴う骨折の危険性を評価し、適した治療法が決まります。

PTH製剤や抗スクレロスチン抗体阻害薬は早期から効果が認められ、4か月おきに骨密度・血液検査を行い評価します。

他の薬剤は比較的緩やかに改善することが多く、6か月~1年間隔に検査を行います。

VitD製剤を内服されている方は、高Ca血症の副作用が起きることがありますので、6か月~1年おきに血液検査を行います。


治療法

投薬が治療の主になります。

①PTH製剤 ②抗スクレロスチン抗体製剤 ③抗ランクル阻害薬  ④ビスフォスフォネート製剤 ⑤SERM製剤

補助薬として、VitD製剤、Ca製剤、VitK製剤などがあります。 

薬物治療に加え、生活の指導も行うことで効率よく回復することも分かっております。

しかし、薬剤と併用しなければ骨密度の増加は難しいと言われています。


定期検査

骨粗鬆症は、骨折以外では自覚症状が乏しい為、定期的に検査を行います。

レントゲン検査(胸腰椎)

骨密度検査

体組成検査

血液検査

重心動揺計(適宜)        


骨粗鬆症治療薬

骨粗鬆症の程度に合わせて、薬剤を選択していきます。

早期であれば、内服にて十分加療が可能です。

骨折を伴った方は、骨粗鬆症が進行していることが多く、注射製剤が必要になります。

【注射製剤】




【内服薬】



PTH製剤

薬剤名:フォルテオ(連日投与)・テリボン(週1回製剤・週2回製剤)・テリパラチドBS(連日製剤:フォルテオ後発品)

副甲状腺ホルモン製剤を一定間隔にて皮下注射することで、高い骨折の予防効果や骨質の改善効果が認められます。

 


抗スクレロスチン抗体製剤

薬剤名:イベニティ

骨代謝に作用し骨がもろくなることを抑え、骨を作る細胞を刺激することで、骨密度を上昇させます。

PTH製剤に次いで、骨折予防効果があります。

 


抗RANKLE阻害薬

薬剤名:プラリア

骨代謝に作用し、主に骨が脆くなることを抑えます。


ビスフォスフォネート製剤

当院採用薬商品名:ミノドロン酸錠・ボンビバ注射・リクラスト点滴製剤

内服薬商品名:ボナロン・フォサマック:ベネット・アクトネル・リカルボン

最もデーターがそろっている薬剤で、この薬の登場により骨折が減った可能性があるほどの薬剤です。

点滴・静脈注射・経口製剤があり、中程度未満の骨粗鬆症み投与します。


SERM製剤

薬剤名:エビスタ・ビビアント・ラロキシフェン塩酸塩錠(エビスタの後発品、当院採用薬)

女性ホルモンに似た作用があり、選択的にエストロゲン受容体に作用し効果を発します。女性ホルモンのように、発がん性の可能性はなく、海外では乳がんなどの予防薬としても投与されています。

女性の骨粗鬆症の原因である女性ホルモンの低下・欠乏に対し処方します。中程度~軽度の骨粗鬆症が適しています。